MAKEAI JOURNAL / AIの使い方
Excelのデータ整理|AIで集計する前の空欄・重複・単位チェック

AIに表の集計を頼む前に、1行の意味、列名、日付・数値の形式、空欄の意味、重複の判定基準を揃えます。原本は残し、修正する表を分けてください。見た目を整える作業と、データの意味を変える判断は別です。
「この表から売上をまとめて」と頼んだのに、合計が合わない。原因がAIの計算だけにあるとは限りません。同じ列に異なる単位が入り、小計行が明細と混ざり、空欄をゼロとして扱うと、集計の前提そのものが変わります。
この記事では、AIへ渡す前の表データの準備を扱います。高度な分析や関数の作成には広げず、担当者が入力表を点検できる状態を目指します。
データ整理の前に、元の表と修正履歴を残す
ここで扱うデータ整理は、AIへ集計を依頼する前に、表の意味と形式を揃える作業です。元のファイルを複製し、修正する行・列と理由を記録します。値を変更する作業と、表示形式を揃える作業は区別してください。
例えば同じ顧客名が2行あっても、注文番号が違えば別取引かもしれません。「同じ名前だから削除」ではなく、どの項目の組み合わせで同一と判断するかを先に決めます。自動修正の前に、例外を人が見られる形にしましょう。
最初に「1行が何を表すか」を決める
1行が注文単位なのか、商品明細単位なのか、顧客単位なのかを説明できるようにします。注文に商品が3つ含まれる場合、3行あるから注文が3件とは限りません。
同様に、注文金額が明細の各行へ繰り返し記載されていれば、その列を足すと二重計上になります。注文ID、明細ID、顧客IDなど、何を識別する列かを整理してから、集計単位を選びます。
入力表を点検する5項目
| 項目 | よくある混在 | 揃える方針の例 |
|---|---|---|
| 列名 | 金額の列が「計」「値」など曖昧 | 税抜金額・円のように意味と単位を明示する |
| 日付 | 年月日と月日だけの表記が混ざる | 年が確認できるものを同じ形式にする。不明な年は補わない |
| 数値 | 1,000円、千円単位、文字列が混ざる | 元の単位を確認してから統一する |
| 空欄 | 未入力、対象外、実績なしが同じ空欄 | 意味を確認し、区別する列を設ける |
| 重複 | 同一注文の別明細と二重登録が混ざる | 識別子と業務ルールで判定する |
小計・総計・見出しだけの行が明細に混ざっている場合は、分析用の表から分けます。セルの色だけでキャンセルや確定を示しているなら、「状態」という列にも記録します。色の情報が取り込まれるかどうかに依存しない形にするためです。
空欄をゼロに置き換えてはいけない場面
未入力の金額と、売上がなかったことを示す0円は別の情報です。空欄を一律にゼロにすると、未確認のデータまで確定した数値として扱われます。
例えば、仮想の見積管理表に「提出前なので金額が未定」の案件があるとします。ここを0円とすると、平均見積額が下がり、実態と違う比較になります。未定の案件を集計に含めるか、別集計にするかは、集計の目的に合わせて人が決めます。
修正前後を追える、小さな整備例
以下はMakeAIが作成した仮想データです。実在の顧客情報ではありません。
| 元の記載 | 確認すること | 整備後の扱い |
|---|---|---|
| 注文A・金額「2」 | 単位が円か千円か | 単位確認までは集計対象外として記録 |
| 注文B・金額が空欄 | 未確定か入力漏れか | 金額は空欄を維持し、状態を「未確認」にする |
| 注文C・同じIDが2行 | 別明細か二重登録か | 明細IDを照合し、削除の要否を判断 |
すぐにきれいな表へ直すより、何が分からないかを残すことが大切です。変更履歴には、元の値、変更後の値、理由、確認者を記録します。
AIには、修正の前に「疑わしい箇所」を列挙させる
いきなり「整えて上書きして」ではなく、確認用の一覧を作らせます。原本から複製した、入力が許可された表で試してください。
この表の集計前点検をしてください。まだ値の変更や行の削除はしないでください。 1行の意味:[例:注文の商品明細1件] 識別する列:[注文ID、明細ID] 集計したい内容:[例:月別の商品別売上] 確認項目: ・列名や単位が不明な箇所 ・日付と数値の形式が混在する箇所 ・空欄の扱いを人が決める必要がある箇所 ・二重登録の可能性がある行 ・小計や総計が混ざっている行 出力:行ID/列名/問題の候補/理由/人への確認事項。 確定できない内容を推測で修正しないでください。
整備後は、件数と金額を別々に照合する
整えた表を使う前に、元の件数、除いた件数、残した件数の関係を確かめます。例外として分けた行も、消えたのではなく別に保管されていることを確認してください。
金額の合計は、元の表にある小計を無条件に正解とせず、集計対象と単位が同じかを確認します。AIが作った集計結果だけで照合を終えず、表計算の集計機能など、再現できる計算方法でも確認します。
- 整備の前後で、対象期間は変わっていないか。
- キャンセルや未確定の扱いは一貫しているか。
- 単位の変換と除外の理由を説明できるか。
- 別の担当者が同じルールで再集計できるか。
毎回同じ混在が起きるなら、入力フォームや列のルールを変える余地があります。AIへ渡す直前だけでなく、情報が生まれる場所まで確認すると、次回の整備を減らせます。
明細と小計が混ざった表を、実際に分ける例
ここでは、架空の注文表を使って整備の順序を具体化します。表にあるのは商品明細で、注文そのものの件数とは異なります。金額はすべて円、税抜という前提です。実データへ使う際は、この前提を元の資料と確認してから適用してください。
| 元の行ID | 注文ID | 明細ID | 金額 | 行の種類 |
|---|---|---|---|---|
| R01 | A100 | 01 | 1200 | 明細 |
| R02 | A100 | 02 | 800 | 明細 |
| R03 | A100 | 空欄 | 2000 | 小計 |
| R04 | A101 | 01 | 1500 | 明細 |
| R05 | A101 | 01 | 1500 | 明細。二重登録か未確認 |
| R06 | A102 | 01 | 空欄 | 明細。金額未確認 |
この6行をそのまま足すと、小計と二重登録の候補が混ざります。最初にR03を小計として別表へ分けます。次にR04とR05の原伝票を確認し、同じ注文・同じ明細を二度登録したものかを判断します。IDが似ているというだけでは削除を確定しません。
説明のため、担当者が原伝票を確認し、R05はR04の二重登録だったと確認できた場合を考えます。R05は除外記録へ移し、原本からは消しません。R06は有効な明細として残し、金額の状態を「未確認」にします。この段階の確定金額は1200+800+1500=3500円ですが、R06の金額が未確認なので、対象期間の売上総額が3500円で確定したとは言えません。
件数も別々に数えます。元は6行、整備後の有効明細は4行、小計として分けたものが1行、二重登録として除外したものが1行です。4+1+1=6となり、行の行き先を説明できます。有効な注文IDはA100、A101、A102の3件で、明細4行と注文3件を混同しません。ここに示す数値は仮の表を手計算した例で、顧客の実績ではありません。
整備後の表には、値だけでなく状態も残す
金額が空欄の行へ「未確認」という文字を直接入れると、数値列に文字列が混在します。金額は空欄のまま残し、隣に状態の列を設ける方法があります。何を数値として集計するかと、なぜ数値がないのかを別々に扱えるようにするためです。
元の行ID 注文ID 明細ID 税抜金額_円 金額の状態 採用区分 R01 A100 01 1200 確認済み 明細 R02 A100 02 800 確認済み 明細 R04 A101 01 1500 確認済み 明細 R06 A102 01 未確認 明細
上の例はコピー用のタブ区切りデータです。空欄を含むため、貼り付け後にR06の状態が正しい列へ入っているか確認してください。空欄の位置がずれた表をそのまま集計すると、状態の文字が金額欄に入ることがあります。小さな例でも、列の意味を見ながら確認します。
同じ考え方で、対象外、取消、確認待ちを区別します。「集計に含めるか」という判定列と、なぜ含めないかという理由列を残せば、担当者が後から条件を変えたときにも、削除した行を探し直す必要が減ります。除外は非表示と削除のどちらで行ったかも記録します。
重複の判定には、会社名だけを使わない
重複を探す前に、同じであれば同一の明細と考えられる項目を決めます。この仮の注文表なら、注文IDと明細IDの組み合わせが候補です。同じ顧客名や同じ金額は、別の取引でも起こり得るため、それだけでは二重登録と判断できません。
| 一致した項目 | 考えられる状態 | 確認すること |
|---|---|---|
| 顧客名だけ | 同じ顧客の別注文 | 注文IDと注文日 |
| 注文IDだけ | 同じ注文に複数の商品明細 | 明細IDと商品 |
| 注文IDと明細ID | 二重登録、訂正版、履歴行のいずれか | 版、更新日時、原伝票、履歴の仕様 |
| 全ての値 | 重複の可能性。ただしデータの仕様による | 同じ行を残す業務上の理由がないか |
更新履歴を一行ずつ持つ表なら、同じIDが複数あること自体は正しい状態です。最新だけを使うのか、各時点の状態を分析するのかで残す行が変わります。AIへ「重複を削除」と頼む前に、履歴を含む表かを説明してください。
単位と日付を変える前に、変換の根拠を決める
金額の「2」が2円なのか2千円なのかは、セルの見た目だけで確定できません。列見出し、帳票の注記、元システムの項目定義を調べます。千円単位だと確認できた場合に限って円へ換算し、変換前の値と単位を履歴へ残します。
日付も同様です。「10/1」に年がなければ、今年の10月1日と決めつけないようにします。対象年度が帳票に明記されているならその根拠を記録し、複数年度が混ざる可能性があるなら確認待ちにします。文字の並びが日付らしく見えることと、正しい日付として確定できることは別です。
変更ID:C-001 元の行ID:R07 対象列:金額 元の値:2 元の単位:千円(元帳票の列見出しで確認) 変更後の値:2000 変更後の単位:円 変更理由:集計対象の金額単位を円へ統一 確認者・確認日:[実際の確認者と日付]
変更の記録は全てのセルに長文を書く必要はありません。同じルールで一括変換したなら、対象行、適用したルール、例外の一覧を保存します。対象外の行へ同じ変換をかけていないか、変換後に再確認する行も決めておきます。
AIへ整備を任せる範囲を、確認後に広げる
最初は、疑わしい行を挙げる段階と、承認したルールで変換する段階を分けます。AIが「重複」と判断した理由を人が確認し、削除するのか別表へ移すのかを決めます。原本を直接更新する必要はありません。
以下は確認が済んだ整備ルールです。 ・R03は小計表へ移す。 ・R05は原伝票との照合で二重登録と確認したため、除外記録へ移す。 ・R06の金額は空欄を維持し、金額の状態を「未確認」とする。 ・その他の値は変更しない。 出力は、整備後の明細表、除外・別表へ移した行の一覧、変更履歴。 元の行IDを残し、処理前後で各行の行き先を照合してください。 ルールにない問題を見つけたら、修正せず確認事項へ出してください。
整備後の件数が合っていても、正しい行が残っているとは限りません。元の行IDで追い、同じ行が二つの表へ重複して入ったり、どの表にも入らなかったりしていないかを確認します。金額を照合するときは、確定分と未確認分を分けて表示してください。
次回のデータを受け取る前に、入力側のルールを揃える
毎月同じ列で単位が混ざるなら、列名へ単位を入れ、入力時に選べる値を決めるといった対処を考えます。色だけで表す状態は列へ、備考へ書かれていた取消は状態の選択肢へ移すと、後の処理で意味を読み取りやすくなります。
ただし、既存の帳票を変えると他部署の作業へ影響することがあります。元の入力表を直す担当、分析用に変換する担当、例外を確認する担当を決め、変更する列と理由を共有します。整備ルールの最新版と、そのルールが使われた集計結果を対応させておきましょう。
入力表が揃ったら、AIにExcel関数を作らせ、期待値で確かめる手順へ進めます。整理段階で未確認の行が残っている場合は、関数が正しく動いても結果が業務上の確定値にならないことを、集計する人へ伝えてください。
整備を完了した表に、未確認の残件を添える
分析担当へ渡すときは、整備済みの表だけを送らず、使ったルールと残る未確認事項を添えます。この例なら「金額を確認できた明細は3行、未確認はR06の1行。小計1行と二重登録1行は別表へ保存」と説明できます。受け取った人は、どの範囲なら集計できるかを判断できます。
未確認の金額が後から分かった場合には、該当行を更新した版を作り、前回の集計値へ何が加わったかを記録します。同じファイル名へ無言で上書きすると、前回の報告と今回の報告が違う理由を追いにくくなります。ファイルの版、更新日、変更した行IDを残し、比較する期間や対象が変わっていないかも確認してください。
完了の条件は、空欄が一つもないことではありません。値の意味が揃い、判断できない箇所の所在が分かり、採用・除外の理由を説明できることです。未確認を明示した表は、根拠のないゼロや推定値で埋めた表より、後から正しく更新しやすくなります。
調査の位置づけ
2026年9月7日の保存済み調査から、表の自動処理を小さく検証する流れと、不明な値を分けて確認する設計を参考にしています。本記事の点検表・仮想データ・指示文はMakeAIが独自に作成しました。
集計の前処理に、毎回時間がかかっていませんか。
MakeAIでは、入力表のルール、例外の確認、集計までの流れを整理します。今ある表から、どの作業を揃えられるか相談できます。