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MAKEAI JOURNAL / ドメイン知識

社内ナレッジの更新担当を決める|AI導入前に整える責任分担

MakeAI編集部 公開 2026.10.16 更新 2026.10.20

ナレッジの更新担当。誰が直すか、先に決める。MakeAI実務ガイド。

社内ナレッジの更新担当は、「内容が正しいかを判断する人」と「資料やAIの参照先へ変更を反映する人」を分けて決めます。さらに、修正依頼の受付先、担当が不在のときの代行先、更新後に確認することを揃えると、誤りの報告が途中で止まりにくくなります。

対象は、社内の手順書やFAQをAIの回答に使う前の運用設計です。以下の担当表と変更例は、MakeAIが作成した架空の教材です。実際の顧客組織や、特定のAIを運用して得た実績ではありません。

AIの設定担当と、業務の内容を決める担当を区別する

「この資料は情報システム部が管理している」と分かっていても、業務ルールの正しさを誰が判断するかは別に確認が必要です。ファイルを登録できる人が、貸出条件や申請手順の変更を決められるとは限りません。

利用者から「案内された返却場所が違った」と報告が来た場面を考えます。AIの設定だけを見直しても、元の手順書が古ければ同じ案内が残ります。逆に、手順書を直しても、AIが変更前の内容を参照していれば利用者の問題は解決しません。

最初に整理したいのは部署名の一覧より、この報告が届いてから再確認を終えるまでの仕事です。資料の内容を判断する役割、変更を反映する役割、利用者の質問で確かめる役割を対応させます。

一つの資料について、四つの役割を埋める

役割 決めること 残す記録
修正依頼の受付 どの窓口で報告を受け、未対応を確認するか 資料名、問題の箇所、受付日、現在の担当
内容の判断 正しい手順・条件を確認できる担当は誰か 判断した内容と、その根拠
変更の反映 原資料とAIの参照先を誰が変更するか 変更対象、反映日時、反映できなかった箇所
更新後の確認 どの質問・画面で変更を確かめるか 確認した質問、回答、参照先、未解決事項

小さな組織なら、一人が複数の役割を兼ねても構いません。その場合も、「内容は確認したが、AIへの反映はまだ」という状態を区別して残します。一人に任せることと、工程を一つの「対応済み」にまとめることは別です。

担当表には、普段使う連絡先と代行先も添えます。「総務部」とだけ書くより、「総務の手順改訂窓口。担当不在時は総務責任者」のように、次に連絡する相手が分かる形にします。正式な割り当ては、本人と業務責任者が確認して決めます。

架空例:三つの社内手順の担当表を作る

資料ごとに内容を判断する部署が違っていても、修正依頼の入口や、AI側への反映担当はまとめられます。次は、同じ社内問い合わせ窓口で扱う三つの資料の例です。

資料 内容を判断する担当 AIへの反映・確認
K-01:貸出機器の受取・返却手順 総務の貸出担当。不在時は総務責任者 情報システム担当が反映し、貸出担当が回答を確認
K-02:オンライン会議設備の操作手順 設備の運用担当。不在時は当番担当 情報システム担当が反映し、設備の運用担当が手順を確認
K-03:社内制作物の依頼手順 制作依頼の受付担当。不在時は制作チーム責任者 情報システム担当が反映し、制作依頼の受付担当が回答を確認

この表では、原資料の修正は内容を判断した担当が行い、AIへの反映は情報システム担当が受け持つ運用を想定しています。自社で原資料を編集する担当が別にいる場合は、その列を追加してください。

資料の持ち主が見つからない場合は、更新担当をAIに推測させず、管理する部署を確認します。用途や内容を判断できる人が決まるまでは、確認済みの回答材料として使うかを運用責任者が判断します。

「返却場所が違う」という報告を、完了まで追う

架空のK-01に「機器は返却棚Aへ戻す」と書かれていましたが、運用は総務窓口での受け取りへ変わっていたとします。利用者から報告を受けた後の流れを、担当と確認内容に分けます。

  1. 受付窓口が報告を残す。利用者が入力した質問、AIが示した返却場所、参照した資料を記録する。
  2. 貸出担当が内容を確認する。現在の受取・返却方法を確認し、変更する箇所と理由を決める。単なる表記の好みか、手順の変更かも分ける。
  3. 貸出担当が原資料を修正する。返却場所の記載を直し、情報システム担当へ変更箇所を渡す。
  4. 情報システム担当がAI側へ反映する。利用している仕組みに応じて資料の同期・登録などを行い、処理の結果を残す。
  5. 貸出担当が同じ質問で確認する。返却場所と根拠の資料が修正内容に合っているかを確かめる。古い案内が出るなら、確認中のまま担当へ戻す。
  6. 受付窓口が完了を記録する。確認結果と残件を見て、報告者へ案内する。

「ファイルを保存した」「同期ボタンを押した」という記録だけでは、回答まで変わったか分かりません。この例での完了条件は、確認用の質問に対して、現在の返却場所と対応する根拠が表示されることです。資料を直す作業と、反映結果を見る作業の両方を担当表へ入れます。

使う人からの修正と、定期的な棚卸しを組み合わせる

ナレッジ管理の方法であるKCSでは、知識を使う人も、その品質や正しさに責任を持つ考え方が示されています。担当表を作る場合も、利用者が気づいた誤りを届ける入口を残すことが大切です。

日々の利用では、実際に困った箇所から修正が始まります。一方で、利用頻度が低い資料の担当異動や連絡先の変更は、質問が来るまで見つからないことがあります。自社の異動や手順変更のタイミングに合わせ、担当・代行先・未対応の報告を見直します。

頻度を先に「毎月」と固定するより、何が変わったら確認が必要かを決めます。担当者の異動、元の手順の変更、問い合わせの増加、回答への指摘などを見直しのきっかけにし、定期確認はその取りこぼしを確かめる機会にします。

調査で参照したデジライズが紹介するKimeteの事例でも、顧客対応履歴やマニュアルを検索に使い、資料の追加を自社で行える運用が説明されています。自社へ引き継ぐ際には、操作方法とともに、内容を判断する担当も残しておくと運用を組み立てやすくなります。

AIに手伝わせるのは、担当の決定より抜けの整理

資料の一覧と、確認済みの担当情報をAIへ渡し、未設定の欄を探す用途に使えます。文書の作成者名だけを根拠に、現在の管理責任者を確定させない指定を入れます。

社内ナレッジの更新担当表を整理してください。

材料:
・資料の一覧と、内容が分かる説明
・確認済みの担当・窓口・代行先
・資料を修正してAIへ反映する現在の手順

資料ごとに、次を分けてください。
1. 修正依頼の受付先
2. 内容を判断する担当
3. 原資料とAIへの反映担当
4. 更新後の確認担当と完了条件
5. 代行先
6. 未設定の項目と、担当を決めるための確認先

文書の作成者を、そのまま現在の責任者と扱わないでください。
確認済みの情報には根拠の資料名を付け、推測による割り当てはしないでください。
担当者への通知や資料の変更は行わず、確認用の表だけを作ってください。

最初は、問い合わせが多い一つの資料を選び、変更の報告を受けてから完了するまでを担当者とたどります。途中で受け取る人が分からない箇所が、担当表へ追加すべき項目です。

更新依頼の状態を分けて、止まっている場所を見えるようにする

担当表ができたら、依頼を受けた後の状態も決めます。「未対応」「対応済み」だけでは、内容の確認待ちなのか、資料の反映待ちなのかが分かりません。返却場所の変更例なら、原資料の修正が終わっても、AIが旧版を使う間は完了にできません。次の状態は、小さな窓口で始めるための編集案です。

状態 この状態にする条件 次に動く担当
受付 質問、誤回答、資料IDを記録した 受付担当が内容の判断先を確認する
内容確認中 正しい手順や適用日を確認している 業務担当が根拠と修正内容を決める
反映待ち 原資料の修正が承認された 反映担当が対象の資料・参照先を変更する
確認待ち 反映処理は終わったが回答を未確認 内容の担当が質問と根拠を照合する
完了 利用者の質問で変更を確認し、残件を分離した 受付担当が結果を記録して報告者へ返す
保留 承認待ちなど、今は進められない理由がある 保留理由、確認先、次に確認する日を残す

保留は担当者のいない置き場所にしません。「返却場所の変更日が決まっていない」なら、誰が決めるかと、決定まで表示する手順を記録します。回答を停止する必要があるかも、業務への影響を知る人が判断します。受付担当だけで新しい運用を作ることは避け、判断が必要な箇所を明確にします。

同じ依頼の中に複数の問題がある場合は分けます。返却場所は修正済みでも、夜間の返却方法が未定なら、前者の確認結果を残し、後者を別の未解決項目として追います。一つの完了チェックで両方を済ませると、未定の条件まで解決したように伝わるためです。

日付と版を記録し、将来の変更を早く出しすぎない

手順書を編集した日と、新しい運用を始める日は一致しないことがあります。例えば10月20日に資料を修正し、11月1日から返却窓口を変えるなら、10月中に新しい窓口だけを案内すると利用者が困ります。更新表には「編集日」「適用開始日」「現在使う版」を別々に設けます。

変更票の記入例(架空)
資料ID:K-01
変更箇所:返却場所
現在の条件:総務窓口で受け付ける
変更後の条件:受付カウンターで受け付ける
原資料を編集した日:10月20日
適用開始日:11月1日
内容の承認:総務責任者が確認
反映の予定:適用前の確認環境で試し、切替時刻を担当間で合意
確認する質問:「今日はどこへ返すか」「11月1日以降はどこへ返すか」
旧版の扱い:通常の回答対象から外し、変更履歴として保管
未確定事項:切替時刻と反映後の確認担当

この記入例は、利用するAIに日付別の回答機能が備わっていることを保証するものではありません。期間条件を区別できるか、切替が必要かは仕組みによって異なります。対応できない場合は、切替日に資料を変更するなど、現実に運用できる方法を選びます。将来版を登録しただけで、適切に使い分けられると考えないことが大切です。

原資料を直した後は、案内メール、手順の抜粋、別部署のFAQなど、同じ情報を複製した場所も確認します。すべてを毎回探すより、資料を作る時点で主な参照先を管理しておくと、変更の影響を追えます。正本へのリンクへ置き換えられる転載は減らし、複製が必要なものは反映担当を決めます。

担当交代では、名簿より未完了の仕事を引き継ぐ

異動時に名前と連絡先だけを変えても、確認待ちの依頼や次回改訂の予定が抜けることがあります。引継ぎでは、担当資料、有効な版、未解決の報告、定期確認の予定、反映方法、失敗したときの連絡先を一緒に渡します。新担当者が実際の依頼一件をたどれる状態を目標にします。

引き継ぐもの 受け取った人が確かめること
担当資料の一覧 正本を開き、対象業務と有効な版を説明できるか
未完了の依頼 現在の状態と、次に誰の判断が必要か分かるか
反映と確認の手順 変更する場所と、結果を確認する質問が分かるか
権限と連絡先 必要な場所を開けるか。不足時の申請先はあるか
代行先 不在時に引き受ける範囲を本人と確認したか

引継ぎの練習では、本番資料を無断で変更する必要はありません。過去の完了済み依頼を教材にして、どの資料が直り、どの質問で確認したかを新担当者に説明してもらう方法があります。アクセスできない場所や意味の分からない略語が見つかったら、担当者の理解不足と決めつけず、引継ぎ資料の不足として直します。

担当表が機能しているか、未処理の理由から点検する

点検時は、単純な完了件数だけでなく、内容確認中のまま止まった依頼、反映後に同じ誤りが再発した依頼、担当不明で差し戻された依頼を見ます。作業量が多いのか、承認先が曖昧なのかで対処は違います。例えば反映待ちだけが積み上がるなら、内容担当を増やすより反映の方法や担当時間を見直す必要があります。

受付日から完了までの日数を使う場合も、適用日待ちの保留と、担当へ届いていなかった停滞を分けます。数字を早くするために未確認で完了へ動かすのではなく、利用者が正しい手順へ到達したことを確認してから閉じます。誤回答の件数だけで品質改善を断定せず、利用件数や問い合わせの種類が変わっていないかも併せて見てください。

担当表の抜けをAIで探すときは、承認済みの役割と未設定の欄だけを入力し、個人の能力や責任を推測させないようにします。作成者名しか分からない資料は「責任者未確認」のまま残します。資料整理からRAGの試行へ進む場合は、社内文書をRAGで使う前の準備で、担当表と質問の確認記録をつなげてください。

参考資料と設計例の範囲

KCSの共同で品質を保つ考え方と、デジライズの公開事例を2026年9月8日に確認しました。四つの役割、担当表、返却場所の変更例、指示文はMakeAI独自の設計例です。特定組織への導入結果や、AI回答の改善率を示すものではありません。

社内資料を、更新が続くAI活用へつなげる

資料は集まったものの、誰が直すかが決まっていない。そんな状態から、対象資料、更新担当、回答の確認方法を整理します。

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