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MAKEAI JOURNAL / ノウハウ

生成AI研修の演習テーマの選び方|業務を教材にする設計例

MakeAI編集部 公開 2026.10.09 更新 2026.10.20

AI研修の演習設計。仕事を、学べる題材に。MakeAI実務ガイド。

生成AI研修の演習テーマは、「受講者の仕事に近いか」と「その場でできたかを確かめられるか」の両方で選びます。業務全体を再現しようとせず、一つの材料から一つの成果物を作る作業に絞り、教材と確認基準をセットで用意すると設計しやすくなります。

例えば「営業をAIで効率化する」は研修の目的にはなりますが、そのままでは演習になりません。「三つの報告から、引き継ぐ事項と未確定事項を分けた一覧を作る」まで具体化すると、参加者が何を練習し、講師が何を見るのかが揃います。

この記事は研修を準備する担当者向けの設計案です。以下の題材・教材・回答例はMakeAIが説明用に作成した架空のもので、受講者の実績や研修効果の測定結果ではありません。

最初に、演習を終えた人ができることを一つ決める

「AIを使えるようになる」を、目で確認できる行動に置き換えます。例えば「元の報告を示しながら、引き継ぎ表の内容を説明できる」です。成果物を作るだけでなく、仕事で採用してよいかを本人が判断するところまで含めます。

広すぎるテーマ 演習にする作業 持ち帰るもの
社内文書を効率化する 確定した案内条件から、必須項目を満たす社内通知の下書きを作る 案内条件と確認項目の組
情報共有をよくする 複数の短い報告から、引き継ぎ事項と未確定事項を分ける 根拠をたどれる引き継ぎ表
企画力を上げる 対象読者と制約を指定し、企画案を評価軸に沿って比較する 案と採用理由を残す比較表

この段階では、ツールの機能数を到達目標にしません。画像生成も検索も表計算も一度に使う題材より、受講者が翌日の仕事へ持ち帰る作業を優先します。

候補を五つの条件で比べる

担当者が面白いと感じる題材と、参加者が自分の仕事で再現できる題材は同じとは限りません。候補ごとに、次の問いへ短く答えてみてください。

  1. 仕事との接点:受講者は、その成果物を誰が何に使うか説明できるか。
  2. 材料の用意:研修で使ってよい情報を、全員に同じ条件で配れるか。
  3. 作業の区切り:一つの入力と、一つの提出物で完結するか。
  4. 確認のしやすさ:元資料や条件と照合し、採用できる回答の範囲を示せるか。
  5. 当日の再現:指定する端末・アカウント・機能で実行できるか。

点数を足す前に、成立しない条件を見ます。教材の利用可否が不明、外部サービスへの接続が未準備、担当者も正誤を確かめられない題材は、魅力があっても準備が必要です。難易度を下げるなら、参加者の仕事との接点を残し、入力材料や対象範囲を減らします。

候補 設計時に見える負担 最初の演習としての調整案
営業提案を一式作る 顧客理解、調査、提案内容、資料デザインが混ざる 公開条件から比較表を作る一工程へ絞る
部署全員の日報をまとめる 文量や表記、入力可能な情報の判断が揃わない 短い架空報告を全員へ同じ形で渡す
社内システムへ結果を登録する 接続設定や権限、登録後の影響まで扱う必要がある 研修内では確認用の登録案を作り、操作の練習とは分ける

設計例:引き継ぎ表を作る題材を一枚にまとめる

ここでは、短い報告を読む仕事がある事務担当者を想定します。練習するのは、情報を要約することだけでなく、完了と未確定を分けて引き継ぐことです。

演習名:短い報告から引き継ぎ表を作る
対象:社内の報告を整理する担当者
到達点:確認済みの事実と、次に確かめる事項を分けて説明できる
入力:講師が用意した三つの短い架空報告
提出物:案件/確認済みの事実/次に確認すること/根拠IDの表
今回扱わないこと:社外調査、実データ接続、担当者や期限の自動決定
確認担当:講師。内容を選んだ理由は受講者にも説明してもらう
持ち帰り:自分の仕事へ置き換える際の入力項目と確認項目

配布する材料は次の三件です。氏名や顧客情報を扱う必要がない題材として作っています。

[報告A]社内説明会の会場は第2会議室に決まりました。
開催日は候補日を調整中です。参加者への案内はまだ出していません。

[報告B]備品の在庫表は更新しました。
保管場所を変える案が出ていますが、変更するかはまだ決まっていません。

[報告C]新しい受付手順の案を共有しました。
担当部署の確認待ちです。運用開始日は決まっていません。

受講者には、表の各列に何を残したいかを自分の言葉で指示してもらいます。完成した指示文を一度貼り付けるだけで終わらせず、どの情報を引き継ぎ先が必要とするかを考える課題にします。

教材を決めたら、講師用の期待する回答も作る

期待する回答は、一字一句が一致する模範解答ではありません。言い換えてもよい部分と、変えてはいけない事実を明確にするものです。上の教材なら、講師用の確認例は次のようになります。

根拠 残す事実 未確定として残すこと
報告A 会場は第2会議室。案内は未送付 開催日の確定。確定後の案内方法
報告B 在庫表は更新済み 保管場所を変更するかどうか
報告C 手順案は共有済み。担当部署が確認中 確認結果と、運用開始日の確定

「案内方法」「開始日の確定」は次に確認する項目としての提案です。原文で決まった事実として扱ってはいけません。元の報告にない期限や担当者を補った表は、文章が整っていてもそのまま採用しません。

確認基準は、①完了と未確定が混ざっていない、②各行の根拠を示せる、③原文にない決定を作っていない、の三つに絞ります。この基準で「できた」と言えるなら、題材と到達点が対応しています。正解が複数ある企画演習なら、唯一の文章を用意する代わりに、制約を守った理由を確認できる評価軸を作ります。

当日使う前に、題材と環境を試す

講師は、当日と同じ利用環境で教材を開き、入力し、成果物を保存するところまで試します。教材の内容が適切でも、必要な機能を使えなければ演習は成立しません。文章の貼り付けで進む題材にするか、ファイルの読み込みまで扱うかも先に決めます。

試したときは、単に所要時間を測るだけでなく、説明が必要だった用語、迷いやすい指示、確認基準では判定できなかった回答を記録します。今回の例も、実際に採用する際は使用するAI環境で試し、教材と期待する回答を調整してください。

準備が整ったら、受講者に「同じ作業を自分の部署で行うには、何を材料として揃えるか」を一つ挙げてもらいます。研修中の成果物から実務への接点を作り、その後の運用はAI研修後の定着・効果測定ガイドで整理できます。

30分の演習を、入力・確認・修正まで配分する

引き継ぎ表の教材を使う場合、文章を生成する時間だけを予定に入れると、受講者が結果を確かめる前に終わってしまいます。次は30分で行う架空の進行案です。受講人数や操作経験に合わせて事前に試し、配分を調整するためのたたき台として使ってください。

時間 受講者の作業 講師が見ること
0~5分 報告A~Cを読み、完了と未確定に印を付ける AIへ渡す前に、材料の意味を分けられたか
5~12分 自分の指示で引き継ぎ表を作る 何を残すか、出力の列を説明しているか
12~20分 表の各行を報告と照合する 表の自然さだけで合格にしていないか
20~25分 誤りを一つ選んで修正を依頼する 変える点と維持する点を区別しているか
25~30分 直した理由と実務への置換点を説明する どの材料を見た判断か説明できるか

AIが最初から条件を満たした場合、無理に失敗を作らせる必要はありません。別の人の表を元の報告で確認する、未確定の項目が確定した変更カードを渡すなど、同じ到達点の範囲で確認作業を深めます。一方、操作で止まった場合は、照合の時間を全部削るのではなく、入力済みの例を使うなど作業量を調整します。

講師が差し戻す理由を、成果物の箇所で伝える

「もう少し正確に」では、どこを直すのか分かりません。報告Cの開始日が「来週」と補われているなら、そのセルを示し、原文に根拠があるかを尋ねます。講師が正しい文をすぐ渡すより、受講者が不足を確認し、修正依頼へ変える工程を残します。

受講者の出力例 講師からの問い 修正後に残す内容
新手順は来週から開始 開始日は、報告Cのどこに書かれていますか 開始日は未確定。担当部署の確認結果を待つ
備品の保管場所を変更する 報告Bでは、変更は決定ですか、案ですか 変更案がある。実施するかは未決定
社内説明会の準備は完了 開催日と案内の状態はどこに残っていますか 会場のみ決定。日程調整中、案内は未送付

この表は採点用の唯一の表現を定めるものではありません。「日付は決まっていない」と「開催日未確定」は同じ意味として扱えます。反対に「たぶん来週」は不確かさを示す言葉が付いていても、材料にない日付を増やしているため、そのまま採用しません。言い回しと事実を分けてフィードバックします。

実務に近づけるときは、名前より判断の難しさを残す

教材を架空化するとき、実在の会社名をA社へ置き換えるだけでは、機密情報が残る場合があります。逆にすべてを短くしすぎると、未確定の予定や相反する報告が消え、練習したい判断がなくなります。残したいのは、業務で迷う情報の関係です。

例えば実際の引き継ぎで「担当者が提案したが上司は未承認」という確認が重要なら、架空教材でも提案と承認を別に書きます。部署間で日付の呼び方が異なる仕事なら、提出日と実施日を区別する材料を入れます。個人名、取引先名、案件固有の金額は不要なら除き、作業に必要な条件だけを作り直します。

教材へ置き換えるためのメモ
元の仕事:複数担当の報告から、次の担当へ渡す一覧を作る
残す判断:完了と提案、確定日と希望日、担当決定と確認待ちの区別
外す情報:実名、顧客名、実案件の金額、連絡先
架空化して作るもの:三つの短い報告と、内容を確認できる資料ID
提出物:事実・未確定・次の確認・根拠の表
講師の確認:教材だけを読んで、各項目の正否を判断できるか

教材を作った人が内容を知っているために、曖昧な条件を読み飛ばすこともあります。可能なら別の担当者に材料だけを読み、期待する表を作ってもらいます。答えが割れた箇所は、受講者を評価する前に、教材の条件が足りているかを確認します。正解を一つにできない箇所は、その理由を説明できればよい課題へ変える方法もあります。

題材の難易度は、増やす条件を一つずつ変える

発展課題を作る際、資料の量、曖昧な条件、出力の種類を同時に増やすと、何が難しかったのか分からなくなります。最初は同じ三件の報告を使い、条件を一つだけ変えます。例えば報告Aの開催日が確定した追加情報を渡し、その行だけを更新して、報告B・Cの未確定は維持できるかを見ます。

次の段階では、同じ案件について古い報告と新しい報告を一つずつ渡し、どちらが現在の情報かを根拠付きで説明してもらいます。ただし、最新版を決めるルールを教材に含めず「新しい方を選ぶはず」と期待してはいけません。時刻や承認状態が判断材料なら、それを明示して演習にします。

自由課題へ移る前に、受講者に「自分の仕事で同じ確認が必要になる箇所」を一つ挙げてもらいます。「報告作成へ使う」だけでなく、「希望日を確定期限へ変えないため、依頼メールの表現を残す」のように書ければ、研修で練習したことと実務がつながります。実際の業務を自動実行する許可とは別なので、持ち帰り後の確認担当も決めます。

研修担当者は、提出物の出来栄えだけでなく、どの条件で手が止まったかを記録します。入力操作、指示の組み立て、資料の読み取り、出力の確認を分けると、次回に補う説明を選べます。参加者の経験差が大きい場合は、共通課題と補助・追加課題を分ける方法へつなぎ、全員の到達点を保ちながら支援を調整してください。

よくある質問

全員に同じ題材を使ってもよいですか?

同じ材料なら回答や迷った箇所を比べやすくなります。ただし、業務との接点がない人には成果物の用途を補足してください。職種ごとに題材を変える場合も、今回練習する行動と確認基準は揃えます。

実際の社内資料を使わないと意味がありませんか?

実務で必要な判断や情報の関係を残せるなら、架空の材料でも演習を設計できます。研修後に実データで行う前には、利用できる情報と環境を確認します。教材で動いたことだけで、本番業務の実行を認めたことにはしません。

最初から自由課題にしてもよいですか?

材料も確認基準も人によって異なり、講師が支援しにくくなることがあります。まず共通の小さな題材で作業を経験し、何を学べたか説明できる状態から、自分の業務へ広げる方法があります。

この記事の作成条件

保存済みの法人研修・定着支援の競合調査から、実務の題材と研修後の利用をつなぐ論点を参照しました。五つの選定条件、設計メモ、架空教材、講師用の確認例はMakeAIの編集提案です。受講者を対象とした効果検証や、特定ツールでの実行結果として掲載したものではありません。

現場の仕事から、研修の演習を設計する

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