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MAKEAI JOURNAL / ノウハウ

初心者と経験者が混ざるAI研修の組み方|共通課題と追加課題を分ける

MakeAI編集部 公開 2026.10.20

経験差があるAI研修。共通のゴール、選べる課題。MakeAI実務ガイド。

初心者と経験者が混ざるAI研修では、全員に共通する到達点を決め、そこへ進むための補助と追加課題を変えます。操作が速い人に合わせて説明を進めるだけでも、全員を最もゆっくりなペースへ揃えるだけでも、学ぶ内容を調整しにくくなります。

この記事では、同じ材料から社内通知を作る演習を使い、補助付きの課題、標準課題、追加課題を用意する方法を紹介します。教材と進行表はMakeAIが作成した設計例です。実際の受講者を対象とした研修効果の測定結果ではありません。

経験年数だけで分けず、どこに補助が必要かを見る

毎日AIを使う人でも、回答を元資料と照合する経験があるとは限りません。一方、AIの操作が初めてでも、業務文書に必要な条件を見つけるのが得意な人はいます。「初心者」「上級者」という名前だけで、課題を固定しないことが出発点です。

カーネギーメロン大学の授業設計ガイドでは、学習者が何を知っているかに加え、その知識をどの程度使えるかを確認することが説明されています。法人研修でも、利用回数だけでなく、当日の作業のどこで助けが必要かを見る材料になります。

確認する点 見える状態 用意する補助
操作 入力・送信・結果の保存で止まる 当日の画面に合った短い操作手順と、操作を見てもらえる窓口
指示の組み立て 何を渡して何を頼むか決めにくい 目的・対象・残す条件を埋める課題カード
結果の確認 自然な文章なら採用し、元資料へ戻らない 資料のどの箇所で確認したかを説明する共通課題

操作の補助が必要な人へ、文章の難易度を下げる対応だけをしても、入力画面では止まったままです。逆に、操作できる人の確認課題を省くと、文章が出たことだけで完了したように見えてしまいます。

保存調査で参照したデジライズのノーブルホーム事例でも、AIを独自に使う社員と、触れたことのない社員の差が導入前の課題として示されています。以下は、そのような経験差がある場面を想定したMakeAIの研修案です。

共通課題は「下書きと、確かめた理由を出す」にする

全員の提出物を、社内通知の下書きと短い照合メモの二つに揃えます。文章が完成したかだけでなく、材料から変えていない条件と、まだ確認が必要な箇所を説明してもらいます。

【共通教材:架空の社内ツール相談会】
名称:社内ツール相談会
日時:10月22日、15時〜15時30分
開催方法:オンライン
対象:全社員
参加:自由参加。参加申込みは不要
事前質問:10月20日までに質問フォームで受け付ける
未確定:質問フォームと当日の参加用URLは準備中。案内日は未定

共通の到達点は、次の三つです。文章の言い回しが同じである必要はありません。

  • 日時・開催方法・対象・自由参加・申込み不要・質問期限を、材料と一致させる。
  • 準備中のURLや未定の案内日を作らず、確認が残っていると分かる形にする。
  • 下書きの条件を、元の材料のどこで確かめたか説明する。

この課題で作るのは送信前の下書きです。URLが未定のため、全員が「このまま実際に送れる完成通知」と扱わないことも、共通で確認します。例えば「参加用URL:確認待ち」と残す方法があります。

同じ材料に、三つの課題カードを用意する

カードは能力の順位を付けるためではなく、作業を進める手段です。補助付きで始め、途中から標準課題へ移っても構いません。共通の到達点を満たした人は、追加課題へ進めます。

課題カード 受講者が行うこと 講師が渡す補助
補助付き 空欄を自分で埋めて指示し、下書きと材料を照合する 指示の枠、操作手順、確認する条件の一覧
標準 材料から自分で指示を組み、下書きと照合メモを作る 材料と共通の到達点。必要なら補助カードを選べる
追加 共通課題の後、条件の変更を反映し、変更箇所と維持した箇所を説明する 追加の変更カード。基本課題の確認を省略しない

補助付きカードでは、完成済みの文章だけを渡すのではなく、何を残すかを本人が選ぶ余地を残します。

【補助付きカード】
目的:社内へ[何の案内]をする下書きを作る
読む人:[対象]
必ず残す条件:[日時・開催方法・参加条件など]
未確定として残すこと:[URL・案内日など]
出力:件名と本文。その後に、条件を確認するための一覧
材料にない条件を加えず、未定の項目は確認待ちと書く

標準課題では、枠を使うか、自分の言葉で指示するかを選べます。「長いプロンプトを書いたか」は判定しません。必要な条件を保持でき、本人が説明できるかを見ます。

追加課題には、次の二つのカードを順に使えます。一つ目を終えたら、二つ目へ進む構成です。

【追加カード1:確定した変更】
事前質問の受付期限だけが、10月20日から10月21日に変更された。
その他の条件は変わらない。

課題:下書きを修正し、変更した箇所と維持した条件をメモする。

【追加カード2:未確定の依頼】
社外の取引先にも転送してよいかと聞かれた。
対象を広げてよいかは、主催者がまだ判断していない。

課題:対象を「社外を含む全員」へ書き換えず、
主催者へ確認する事項を別のメモにする。

追加課題は、別の高度なツールを使う競争にしません。同じ教材で「変更した条件」と「決まっていない依頼」を分けると、共通の到達点を保ちながら、判断を一段深くできます。

当日は進み具合に合わせて、支援の行き先を変える

研修の途中で、単に「終わった人は挙手」と聞くと、確認が済んでいない人まで追加課題へ進むことがあります。「下書きが出た」「材料と照合した」「確認した理由を説明できる」を分けて把握します。

その場で見える状態 次の進め方
入力や保存の操作で止まっている 操作の補助へつなぐ。講師がすべて代行せず、本人が同じ操作を一度行う
下書きはあるが、元資料と確認していない 共通の確認へ戻る。速く生成できたことだけで追加課題へ進めない
条件を照合し、未定の扱いを説明できる 追加カード1へ進む。希望すれば自分の指示の改善を続けてもよい
同じ操作で多くの人が止まっている 全体の説明を一度補う。個別の遅れとして扱わない

60分で行う場合の進行例は、共通説明10分、基本課題20分、照合10分、補助の継続または追加課題10分、最後の共有10分です。これは設計例であり、端末準備や参加人数に応じて調整します。最後の共有を削って操作だけで終えないように、途中で扱う範囲を絞る判断も用意します。

経験者を固定の補助講師にしてしまうと、その人の学習時間が減ります。受講者同士で助ける場面があっても、操作支援の責任者を別に置き、質問の行き先を示しておきます。

最後は、全員が一つの確認理由を説明する

締めくくりでは、どのカードを使った人にも同じ問いを投げます。「元の条件から変えていない箇所」と「そのまま送らず確認が必要な箇所」を一つずつ挙げてもらいます。

今回の教材なら、「自由参加を必須参加に変えていない」「URLは準備中なので確認待ちと残した」と説明できるかを見ます。追加カードを使った人は、「期限だけを21日へ変更し、日時は22日のまま維持した」と、差分まで説明できます。

講師は、補助カードを使ったかどうかと、到達点を満たしたかを別に記録します。補助を使って正しく確認できたことは学習の結果です。次に補助を減らして同じ作業をできるかは、次回の練習として設定できます。

持ち帰りには、「自分の仕事なら、どの条件を元資料と照合するか」を一つ書いてもらいます。研修後の利用をどう続けるかは、AI研修後の定着・効果測定ガイドで整理できます。

到達点を共有できない場合は、講座を分ける

経験差がある研修を、必ず一つにまとめる必要はありません。文章の下書きを初めて作る人と、外部システムへ接続する開発を学びたい人では、同じ課題で満たせる目的が違います。その場合は共通説明の後に別講座へ進めるか、最初から目的別に分けます。

指定のアカウントを使えない、端末の準備が終わっていない、といった問題も経験差とは分けます。操作を見学するだけになった人を、課題の達成者として数えないようにし、別途試せる機会を残します。

研修担当者は、参加者のラベルを決めることより、共通の到達点と支援の行き先を準備してください。まず一つの教材に補助カードと変更カードを付け、どの状態で切り替えるかを講師と確認すると、当日の判断を揃えられます。

同じ提出物を、三つの観点で確認する

課題を分けても、合格条件まで人によって変えると、何を学ぶ研修なのかが見えにくくなります。社内ツール相談会の例では、下書きの条件、未定情報の扱い、本人の照合説明を共通で見ます。次の表は講師が確認をそろえるための案で、受講者の能力を点数で固定する基準ではありません。

確認する観点 到達したと判断する状態 補助が必要な状態
条件の保持 22日15時開始、自由参加など、教材の条件を変えていない 日時、対象、申込み要否のどれかが変わっている
未定情報の扱い 二つのURLと案内日を未定として区別できる URLを作った、案内日を開催日と同一にした
照合の説明 元の教材のどの部分を見たか説明できる 自然な文章だから正しい、とだけ答える

確認表には、補助カードを使ったかと、到達したかを別の欄に記録します。補助を使った人が正しい理由を説明できたなら、その到達は認めます。操作が速い人でも、未定のURLを埋めたままなら共通課題を確認し直します。見た目の速さを判断の正確さと混ぜないためです。

提出物の記入例を、講師が一つ持っておく

講師用には、完成通知だけでなく照合メモの例も用意します。例えば「自由参加と申込み不要は教材の参加条件で確認した」「質問の期限20日と開催日22日を別々に残した」「URLと案内日は未定なので送信前の確認事項にした」という三行です。この内容は正解文を暗記させるためではなく、説明の粒度をそろえるために使います。

一方、「全部確認しました」だけのメモでは、どこを見たか分かりません。講師は一つの条件を選んで、元資料の箇所を示してもらいます。すべての受講者へ長い口頭試験をする必要はなく、ペアで確認してから代表例を共有するなど、人数に合う進め方を準備します。

進み具合を知らせる合図と、質問の行き先を決める

講師が全員の画面を同時に見られない場合は、作業状態を短く知らせてもらいます。「困っています」だけでなく、操作、指示、照合のどこで止まったかを選べると、必要な支援へつなぎやすくなります。利用する研修環境に合わせ、挙手、チャット、紙のカードなど、受講者が使える方法にします。

状態の合図 講師や支援担当の対応 受講者が続ける作業
操作で停止 入力・送信・保存のどこかを一緒に確認 操作を本人が一度行う
指示を作成中 足りない項目だけを課題カードで示す 自分で指示の空欄を埋める
照合中 まず教材との比較を続けてもらう 変わった条件を一つ探す
共通課題を確認済み 理由を確認して追加カードを案内 変更条件を反映し、維持した条件も確認

質問が同じ操作へ集中したら、個別対応を続けるより全体の説明を短く補う判断ができます。ただし、全員が同じ箇所で困っていると決めつけず、どの操作に質問が集まったかを見ます。早く終えた人には、追加課題や照合の深掘りを用意し、待つだけの時間にならないようにします。

一人で全体進行と操作支援を兼ねる場合は、その条件で扱える課題量に絞ります。入力資料を短くする、配布ファイルの種類を減らす、同じ画面で完結する課題にするなどの調整が考えられます。「経験者が教えてくれるはず」を前提にせず、支援の責任を講師側で設計します。

時間が足りないときに残すものを、先に決める

基本課題で予定より時間がかかったとき、追加カードを減らすことはできますが、条件を照合する工程まで丸ごと省くと到達点が変わります。事前の進行表には、短縮する順番と、最後まで残す確認を書きます。今回なら、追加カード2、追加カード1の順に減らし、少なくとも一つの条件を元資料で確かめる作業を残す案があります。

受講者が操作できないまま見学になった場合は、理解したことと実行できたことを分けて記録します。後日、使える端末で試す機会が必要かを決め、その人を演習完了者として数えません。同時に、アカウント準備の不足を本人のスキル不足として記録しないようにします。

研修後の記録も、「初心者だった」「上級者だった」というラベルだけでは次の支援へつながりません。「入力は自力でできたが期限の照合に補助が必要」「条件変更までできたが未定の依頼を確定させた」など、実際の作業で見えたことを残します。次の練習は、その一つの不足を補う内容にします。

企画の段階で経験と環境の情報が足りない場合は、研修前アンケートで、受講者の自己申告と管理者が確定する環境を分けて集めます。初回から細かなクラス分けを決めるより、共通課題を試すための準備と、途中で支援を変えられる条件を先にそろえてください。

参考資料と設計例の範囲

デジライズの導入事例とカーネギーメロン大学の授業設計ガイドを2026年9月8日に確認しました。教材、課題カード、60分の配分、支援の切替表はMakeAI独自の設計例です。大学のガイドがこの法人研修案を検証したという意味ではありません。

受講者の経験差に合わせて、AI研修を設計する

未経験者と日常利用者が同じ部署にいる場合も、共通の課題、操作の補助、追加課題を組み合わせて進め方を整理します。

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