MAKEAI JOURNAL / AIの使い方
生成AIプロンプトの例文と書き方|仕事で使えるテンプレート

仕事をAIに頼むときは、目的・材料・条件・出力形式・確認方法の5項目を伝えます。長い指示文を毎回書く必要はありません。何に使う成果物なのかと、勝手に決めてはいけない点を揃えるだけでも、修正の方向が明確になります。
「もっと具体的に」「いい感じに直して」と依頼を重ねても、思った回答が得られないことがあります。AIに能力がないとは限りません。依頼する側の頭の中にある前提が、入力には含まれていない場合があります。
この記事は、業務担当者が最初の依頼文を作るための入門ガイドです。特定モデル向けの裏技ではなく、仕事の要件を伝える共通の型を扱います。まず5項目の型を使い、材料を埋めた依頼文と完成例を読み比べながら、自分の業務の依頼を作ります。
プロンプトとは?仕事を頼む指示文のこと
このガイドでいうプロンプトは、生成AIに入力する指示や質問です。「何をしてほしいか」に加えて、使ってよい材料と完成の条件を含めます。役割名や専門用語を増やすことより、出力を受け取る人が使える状態を具体的にすることを優先します。
Googleのプロンプト設計ガイドでも、明確な指示、必要な背景情報、制約、回答形式を示すことが説明されています。本稿では、それらを業務の依頼として整理します。
以下の5項目はMakeAIの業務整理用の型です。すべてのモデルで最適だと実証した方式ではありません。まず一件で試し、出力を確認して項目を調整してください。
まずは、人に渡せる依頼になっているかを確認する
例えば「来週の提案をまとめて」という依頼では、誰に何を判断してほしいのか、何の資料が正しいのか、どの程度詳しく書くのかが分かりません。人に頼む場合も、追加の質問が必要になる内容です。
AIに渡す指示文は、凝った文章よりも業務の依頼書に近いものです。情報をたくさん詰め込むのではなく、仕事を終えるために必要な情報を選んで渡します。
1.目的:読む人と、次にしてほしい行動を書く
「提案資料を作る」は作業名です。目的まで伝えるなら、「部長が試行の可否を判断できるように、対象業務と費用の前提を1枚に整理する」とします。読み手の判断が分かれば、必要な情報と不要な情報を分けやすくなります。
書き方に迷ったら、「誰が」「何を理解し」「何を決めるために使うか」の順で一文にします。読み手が既に知っている背景も添えると、説明が長くなりすぎるのを抑えられます。
2.材料:使ってよい情報を指定する
AIは、渡されていない社内事情を知っているわけではありません。利用するメモ、数値、文書の版、説明相手の状況を提示します。複数の資料がある場合は、資料名と役割も書きます。
| 材料 | 一緒に伝えること |
|---|---|
| 議事メモ | どの会議の記録か、決定済みか検討中か |
| 集計表 | 対象期間、単位、集計対象 |
| 過去の文書 | 内容を流用するのか、書式だけ参考にするのか |
| 社内ルール | 有効な版、適用対象、例外の有無 |
資料が足りなければ、その不足自体を書きます。「価格は未確定。金額を補わず、確認事項として残す」のように指定してください。入力可能な情報の範囲は、組織で認められた利用環境と社内ルールに合わせます。
3.条件:守ることと、決めないことを明示する
条件には、文字数や文体だけでなく、業務上の境界を含めます。「費用を確約しない」「確認できない数値は削除せず未確認と示す」「顧客名は仮名のままにする」などです。
条件を増やしすぎると、重要なものが埋もれます。まずは誤ると困る条件を3つ程度に絞り、その他の希望と区別しましょう。例えば「納期を断定しない」は必須条件、「やわらかい文体」は調整可能な希望として扱います。
4.出力形式:何が返れば使えるかを決める
読み手が比較するなら表、実行するなら手順、判断するなら要点と選択肢が向いています。初回から細かなレイアウトまで指定するより、必要な項目を揃えることを優先します。
「結論、理由、次の確認事項の順で」「表の列は課題、対応案、担当、未確認事項」のように、成果物の骨格を示します。既存の書式がある場合は、内容を参考にする資料とは別に、書式見本として渡してください。
5.確認方法:AIの自己評価と、人の確認を分ける
「正確に書いて」だけでは、確認が終わったことにはなりません。どの項目を何と照らすのかを指定します。例えば、金額は見積表、日程は進行表、事業内容は提示した会社資料を根拠にします。
AIには「各主張の根拠資料と、不足している情報を併記する」と頼めます。ただし、AI自身の「確認済み」という表現だけで合格にしないでください。最終的に誰が見るかも、仕事の手順に含めます。
そのまま使える、5項目の依頼テンプレート
【目的】 誰が、何を判断・実行するための成果物か: 【材料】 使ってよい資料・数値・背景: 資料ごとの役割と有効な版: 【条件】 必ず守ること: 未確定のまま残すこと: 【出力形式】 必要な項目と順序: 長さの目安: 【確認】 根拠を示す項目: 不足情報があれば、作成前に質問してください。 判断できない点は推測で埋めず、確認事項にしてください。
書き換え例:社内向けの改善提案を頼む
「備品の受け取りを改善する案を作って」では、誰に何を決めてほしいのかが伝わりません。ここでは、5項目のテンプレートに材料まで入れた形と、目指す完成形を並べます。材料・指示文・完成例はMakeAIが作成した架空の教材です。AI製品の実行結果や、実在企業の改善実績ではありません。
【目的】 総務責任者が、備品受け取り窓口の案内を1週間試すか判断するための提案文を作る。 【材料】 以下の作業メモだけを事実として使う。 M1:備品は本社2階の総務カウンターで受け取る。 M2:昼休みの受け取り場所を尋ねる問い合わせがある。件数や対応時間は未集計。 M3:試行案は、社内掲示板へ受け取り場所と窓口時間の案内を載せること。 M4:案内の窓口時間は総務責任者が確認する。まだ確定していない。 M5:開始日と掲示の担当者も総務責任者が決める。外部への掲示は行わない。 【条件】 試行は1週間。経費削減額や問い合わせの減少率は書かない。 未確定の時刻・開始日・担当者を補わない。全社の業務改革へ話を広げない。 【出力形式】 「課題」「試すこと」「決めること」の3見出し。各見出しの本文は2文以内。 【確認】 各段落の末尾に根拠のM番号を書く。依頼で指定した期間は「依頼条件」と示す。 原記録の事実と、これから試す案を区別する。 不足情報は「決めること」にまとめ、確認用の下書きまで作る。
目指す完成形の一例
同じ入力でも文章の表現は一つに決まりません。以下は、材料と条件を満たすよう編集した完成例です。
課題 本社2階の総務カウンターで備品を受け取る運用について、昼休みの受け取り場所を尋ねる問い合わせがある。件数と対応時間は未集計である。(M1・M2) 試すこと 受け取り場所と、確認後の窓口時間を社内掲示板に案内し、1週間試行する。外部への掲示は行わない。(M3・M4・M5・依頼条件) 決めること 総務責任者が窓口時間を確認し、開始日と掲示の担当者を決める必要がある。現時点ではいずれも未確定である。(M4・M5)
確認するのは、文章の上手さだけではありません。受け取り場所が材料と一致していること、案内が実施済みになっていないこと、未集計の件数や効果が追加されていないことを読み合わせます。指示の段階で完成形を決めると、自分の業務でも、どこを直せば使えるか判断できます。
例えば「毎日12時から13時まで受け付けます」と出ていたら、「窓口時間は未確定なので削除し、総務責任者の確認事項として残す。受け取り場所と3見出しは維持する」と修正を依頼します。この文も、誤りの見分け方を説明するための架空例です。
うまくいかないときの切り分け
- 一般論ばかり:目的と材料に、自社の業務条件が入っているか確認する。
- 長すぎる:読む人の判断に必要な項目を絞り、長さの目安を追加する。
- 架空の情報が入る:使う資料を限定し、不明点の扱いを指定する。
- 修正してもぶれる:変えてよい箇所と固定する箇所を分ける。
まず一つの業務で、依頼文・出力・直した点をセットで保存しましょう。完成したプロンプトだけでなく、どんな入力に使い、どこを人が見るかが残っていると、他の担当者も使いやすくなります。
プロンプトの書き方でよくある疑問
長い指示ほどよい回答になりますか?
長さではなく、作業に必要な条件が揃っているかを見ます。重複する指示や矛盾する条件を削り、必須条件を明確にします。
毎回同じテンプレートを使ってよいですか?
骨格は再利用できます。ただし、相手・目的・資料の版・未確定事項は案件ごとに更新します。前の案件の情報を残したまま使わないよう、空欄へ戻す項目を決めましょう。
うまく書けないとき、AIに質問してもらえますか?
「作業を始める前に、不足している条件を質問してください」と指定できます。質問が返らなくても前提が十分とは限らないため、5項目を自分でも確認します。
会議記録を材料にした具体的な入力例は、議事録作成のプロンプトと確認手順で紹介しています。
比較表を作るときは、判断に使う条件を材料へ含める
案内文と違い、比較の依頼では、何を基準に選ぶかが出力を左右します。「候補を比較して」だけでは、AIが一般的な評価項目を補い、自社に必要な条件が抜ける場合があります。次は社内勉強会の会場を選ぶための架空例です。製品の性能試験ではなく、5項目の使い分けを示す編集例です。
| 項目 | 今回の記入 |
|---|---|
| 目的 | 20人が参加する勉強会の会場候補を、追加確認の要否まで比較する |
| 材料 | Aは定員24人、費用未確認、投影設備あり。Bは定員30人、費用12,000円、設備未確認 |
| 制約 | 予約可否や費用上限は未確認。候補の優劣を確定しない |
| 出力 | 候補、定員、費用、設備、次の確認事項の表 |
| 確認 | 入力にない費用や空き状況を補わず、未確認を0やなしに変えていないか |
この条件なら、Aの費用とBの設備を確認する表は作れますが、「Aがおすすめ」と結論を出す材料は足りません。安さを重視するのか、設備が必須なのかで選択が変わるためです。比較表を完成させることと、意思決定を終えることを分けて依頼します。
上の材料だけで会場候補の比較表を作ってください。
参加予定人数は20人です。定員との比較はして構いません。
予約可否、税込・税別、費用上限は未確認のため補わないでください。
候補ごとの次の確認事項を示し、採用する会場は決定しないでください。
表の列と未確認の書き方は、指定した出力条件へ合わせてください。
もし回答に「Aは無料なので有利」と出たなら、文体を直す問題ではありません。「Aの利用料は未確認であり、無料とは書かれていない。未確認へ戻し、その金額を前提にした評価も削除して」と、材料と修正箇所を対応させます。直した後には、Bの費用など正しかった値まで変わっていないか確かめます。
資料の要約では、残す条件と省いてよい説明を分ける
次は架空の社内申請手順を短く案内する例です。材料を「申請は担当部署へ。通常は利用日の3営業日前まで。緊急時は個別に相談。承認前に利用を確約しない」とします。単に短くすると、通常の期限と例外の関係が消える可能性があります。
目的:初めて申請する人が、必要な準備と確認先を理解する。
材料:上の申請手順。
制約:期限、緊急時の相談、承認前に確約しない条件を残す。
出力:通常の手順を2文以内、その後に例外を1文。
確認:3営業日を3日へ変えない。緊急なら必ず利用できると書かない。
資料にない担当者名、連絡先、受付時間は追加しない。
編集例は「通常は利用日の3営業日前までに担当部署へ申請してください。承認される前に利用を確約しないでください。緊急時は担当部署へ個別に相談してください」です。細かな背景を省いても、行動を変える条件は残します。読みやすさを優先して「急ぎなら利用できます」と変えると、元の規則と違う案内になります。
同じ資料を上司への報告に使うなら、出力を「現状、判断が必要なこと、確認先」の順に変えられます。ただし、読む人が変わっても、期限や承認条件を都合よく変更してよいわけではありません。5項目のうち出力だけを変えたとき、材料と制約を維持することが確認点になります。
依頼文を共有するときは、入力例と合格条件も残す
良さそうなプロンプトだけを保存しても、後から使う人はどの材料を入れるか迷います。社内用のテンプレートには、使う場面、必要な入力、出力の例、確認する項目、適さない用途を添えます。これにより、単に文章が出たことではなく、その仕事で使える条件を確認できます。
依頼文を修正した場合は、何を直すために変更したかを記録します。例えば「担当者を補ってしまったため、未設定の扱いを追加した」と残せば、後任が重要な一文を削りにくくなります。モデル名や日付だけを管理しても、なぜその条件が必要かは分かりません。
新しい仕事へ転用するときは、元のテンプレートの成功をそのまま保証として使わず、小さな材料で確認します。質問が必要な条件が多いなら、不足情報を先に質問させる指示を使い、表の形がばらつくなら、出力項目と未確認の表記を決める方法へ進んでください。
このガイドの根拠と教材について
一般的な指示の設計はGoogleの公式ガイドを参照しています。5項目のまとめ方、備品受け取りの材料、指示文と完成例はMakeAIの編集提案です。特定のAI製品での効果を測定した結果ではありません。
- Google:プロンプト設計戦略(明確な指示・制約・回答形式・背景情報)
自社の仕事で使える指示文を作りたい方へ
MakeAIの法人向け生成AI研修では、実務の題材から、入力・出力・確認方法を揃える演習を設計します。汎用的な例だけでなく、現場で持ち帰れる手順にしたい場合はご相談ください。